2024年3月21日木曜日

ベルトランのパラドックス(1)


下図は、円に内接する正三角形を描いたものである。この円の中にランダムに弦を引いたとき、その弦の長さが正三角形の一辺の長さ(a)よりも長くなる確率はいくらか、を考える。

適当に直線を引いたとき、円で切り取られた線分(弦)は、ℓ1のようにaより短いものや、 ℓ2のようにaより長いものが現れる。


このようにランダムに弦を引いたとき、その弦の総数に対して、aよりも長くなる弦の本数の割合を求めようとしている。

Aさんは次のように考えた。

線を引くためのスタートになる点を円周上に設けて、この点から円の内部に線を引っ張っていく。
そうすれば、引いた線が三角形に重なるとき(線が赤色の角度内にあるとき) は、aより長く、三角形に重ならないとき (青色の角度内にあるとき) は、aより短くなり、これを区別すればよい。
ランダムに線を引ける角度は180度であるが、その内、赤い60度内に入れば、その線はaより長くなるといえる。
したがって、求める確率は、60/180=1/3である。

Bさんは次のように考えた。

円の直径を1本引いて、この直径上にランダムに点をとる。この点を通り、直径に垂直な直線を円内に引いて、その線分の長さを比べればよい。
そうすれば、点が円の中心に近く、2つの正三角形の底辺に挟まれたところにあるとき(線が赤矢印内にあるとき)の線は、aより長く、その外側(中心から離れた青色の矢印内にあるとき) は、aより短くなる。
円の中心は正三角形の重心に位置するので、青色の矢印と赤色の矢印の長さは、上青:赤:下青=1:2:1になる。
点のとり方はランダムなので、起こりやすさはこの長さの割合に等しいことから、求める確率は、2/4=1/2 になる。

Cさんは次のように考えた。

円の中にランダムに点をとり、この点から直線を引く。さまざまな線の引き方が考えられるが、置いた点が中点となる弦(点を通り半径に垂直に引いた弦、点を通る最短の弦)をとることにする。
これは、Bさんが直径上の点をとって確かめたように、中心から直径の1/4(半径の1/2)の距離内にあるときに、aより長い線が引けることを意味する。
つまり、もとの大円の中にランダムな点をとるとき、その点が内側のオレンジの円の内部に存在する確率が、aより長い線が引ける確率ということになる。
よって、(小円の面積)/(大円の面積)=π/4π=1/4。

同じ問題を解いて異なる解答が現れるのは受け入れがたいということで、ベルトランの「パラドックス」と呼ばれている。

2024年3月20日水曜日

いろいろな平均(3)


④ 二乗平均平方根 √((a^2+b^2)/2)

台形ABCDの面積を等分するEFを定める。台形ABEF=台形FECDなので、
BE=kd、EC=keとすると、(a+c)×kd÷2=(c+b)×ke÷2より、d:e=(b+c):(a+c)
と表せることから、c=a+(bーa)×(b+c)/(a+b+2c) がいえる。
これを解くと、c^2=(a^2+b^2)/2、すなわち、c=√((a^2+b^2)/2) が導ける。
・d:e=(b+c):(a+c)
・一辺がそれぞれa、bの正方形の面積の和が、一辺cの正方形2つ分の面積に等しいということ。


・トイレットペーパーの真ん中を求める問題(以前に掲載)では、この二乗平均平方根を用いた。
全体の半径をa、芯の半径をbとしたとき、長いロールペーパーの真ん中付近までの半径(ある意味「平均」といえるだろう)をxとして、これを求めると、
π(x^2)ーπ(b^2)=π(a^2)ーπ(x^2) より、2(x^2)=a^2+b^2 すなわち、x=√((a^2+b^2)/2) となる。

(蛇足)このとき、下右図の2本の赤い接線の長さは等しくなる。



4つの「平均」をまとめてみると、


BE/ECは、それぞれ、① 1、② √a/√b、③ a/b、④ (b+c)/(a+c) なので、
0<a≦b とすると、 ③ a/b ≦ ② √a/√b ≦ ① 1 ≦ ④ (b+c)/(a+c) がいえる。
すなわち、点Eが点B側に近い順番は、③ 調和平均、② 相乗平均、① 相加平均、④ 二乗平均平方根 であり、その平均値(EFの長さ)も、③ 調和平均 ≦ ② 相乗平均 ≦ ① 相加平均 ≦ 二乗平均平方根 となる。
また、a=bのとき、すべてのEFの長さは等しく、a およびb に一致することがこれらの図から読みとれる。

さらに、① 相加平均 (a+b)/2、② 相乗平均 √(ab)、③ 調和平均 2ab/(a+b) について、
((a+b)/2)×(2ab/(a+b))=(√(ab))^2 が成り立つので、
2数の相乗平均は、「相加平均」と「調和平均」の「相乗平均」であることがわかる。
このことからも、③ 調和平均 ≦ ② 相乗平均 ≦ ① 相加平均 の関係が確かめられる。
 

2024年3月19日火曜日

いろいろな平均(2)


① 相加平均(Arithmetic mean) M1=(a+b)/2
② 相乗平均(Geometric mean) M2=√(ab)
③ 調和平均(Harmonic mean) M3=2ab/(a+b)
④ 二乗平均平方根(root-mean-square) M4=√((a^2+b^2)/2)
これら4つの「平均」について、幾何学的な意味をもう少し深めてみよう。

AB=a、DC=b、AB∥DCの台形ABCD内に、
① (a+b)/2、② √(ab)、③ 2ab/(a+b)、④ √((a^2+b^2)/2)
の長さをもつ線分EFを引きたい。ただし、BC上にEを、AD上にFをとり、AB∥FEとなるように引くこととする。①~④は、それぞれどこに位置するか。


① 相加平均 (a+b)/2 について

BCの中点をEとする(d:e=1:1)とき、c=(a+b)/2 となる。
・EFは、ABとCDから等距離にある平行線。
・台形ABCEの面積=BC×EF。
・a→c→bは、公差 (bーa)/2の等差数列。

② 相乗平均 √(ab) について

台形ABEFと台形FECDが相似になるように点Eを定めると、
a:c=c:b となるので、c^2=ab すなわち、c=√(ab) になる。
・d:e=√a:√b
・a→c→bは、公比 √(b/a) の等比数列。
・a、bを2辺とする長方形を裁ち合わせることによって、一辺cの正方形がつくれるということ。


③ 調和平均 2ab/(a+b)について

対角線ACとBDの交点Gを通り、ABに平行な直線FEを引くと、△AGB∽△CGDより、
BE:EC=a:bなので、EF=a+(bーa)×a/(a+b)=2ab/(a+b)
すなわち、c=2ab/(a+b)になる。
・d:e=a:b
・aとbの逆数の平均がcの逆数になる、(1/a+1/b)/2=1/c ということ。
・BCを一辺とする折り紙で、a、bの長さを定めると、a/(a+b)の位置が導ける。
 (例:a=1、b=2のとき、辺の1/3の位置が求められる。)

2024年3月18日月曜日

いろいろな平均(1)


「平均」はいろいろな場面で使い分けが必要である。
 
① 相加平均(Arithmetic mean)
 M1=(a+b)/2
 昨日の売り上げが2万円、今日の売り上げが6万円。2日間の平均売り上げはいくらか。
 (2+6)÷2=4 4万円

② 相乗平均(Geometric mean)
 M2=√(ab)
 ここ2年間で年間売り上げが200万円から600万円に伸びた。2年間の平均伸び率と、平均伸び率から換算した昨年の売り上げはいくらか。
 √(600÷200)=√3 √3倍  200×√3≒346 346万円
 √(200×600)≒346 346万円

③ 調和平均(Harmonic mean)
 M3=2ab/(a+b)
 行きは時速20kmで、帰りは時速60kmで走った。往復の平均時速はいくらか。
 2x÷(x÷20+x÷60)=30 30km/h
 2×20×60÷(20+60)=30 30km/h

④ 二乗平均平方根(root-mean-square)
 M4=√((a^2+b^2)/2)
 一辺がそれぞれ2cmと6cmである正方形の板チョコ2枚を、一度溶かして同じ大きさの正方形の板チョコ2枚をつくるときその一辺(平均面積をもつ正方形の一辺)はいくらか。
 √((2^2+6^2)/2)≒4.47 4.47cm


2数a、bとこれら4つの平均値を幾何的に表現してみよう。
半円Oの直径AB上に、AC:CB=a:bとなる点Cをとる。線分CD、OEはそれぞれABに垂直であるとする。


このとき、OEは半径なので、(a+b)の半分、すなわち、x=(a+b)/2 …相加平均

△OCDは直角三角形なので、CD^2=OD^2ーOC^2=((a+b)/2)^2ー((b-a)/2)^2
=(2ab+2ab)/4=ab、すなわち、y=√ab …相乗平均

△OCD∽CFDから、OD:DC=CD:DFがいえるので、DF=CD^2÷OD
=ab÷((a+b)/2)=2ab/(a+b)、すなわち、z=2ab/(a+b) …調和平均

△OCEも直角三角形なので、CE^2=OC^2+OE^2=((a+b)/2)^2+((b-a)/2)^2
=2(a^2+b^2)/4=(a^2+b^2)/2、すなわち、w=√((a^2+b^2)/2) …二乗平均平方根

z≦y≦x≦w(③ 調和平均 ≦ ② 相乗平均 ≦ ① 相加平均 ≦ 二乗平均平方根)であることが図から読み取れる。
また、点Cが点Oに重なるとき(a=bのとき)、z=y=x=w となる。

2024年3月17日日曜日

穴あき立方体の切断面(3)

 
『Autodesk Fusion 360』を使って、穴あき立方体の切断の3D画像をつくってみた。
このようなフリーツールが提供されていることはありがたい。

まずは、穴あき立方体の画像をつくるところから。


次に、面を指定してカットする。分けられた2つの立体をずらすと、その切断面が現れる。

② 正三角形

⑤ 長方形

⑥ 平行四辺形

⑦ 菱形

⑧ 台形

⑨ 等脚台形

⑩ 五角形

⑪ 六角形

⑫ 正六角形

以上、画像は10種類だけの紹介で終える。
実は、フリーで使うには制限があり、画像は10個までしか保存できない。
しかし、これだけ正確で、また自由度のある画像処理が、簡単な手順で行えるとは驚きである。

2024年3月16日土曜日

穴あき立方体の切断面(2)

 
残りの9通りを以下に紹介する。

④ 正方形(2)


⑤ 長方形


⑥ 平行四辺形


⑦ 菱形


⑧ 台形


⑨ 等脚台形


⑩ 五角形


⑪ 六角形


⑫ 正六角形


以上、12通りの方法で切断した記録である。

2024年3月15日金曜日

穴あき立方体の切断面(1)


サイコロキャラメルの箱を使った立方体の切断面について、以前に紹介した。


今回は、立方体の各面の中央に正方形の穴をくり抜いたものを用意し、上記の12通りの切り方に倣って、その切断面がどのような表情をもつかについて調べてみよう。
立方体の穴は貫通しており、くり抜かれたものは3本の角棒が交差する立体になる。下図右側の「穴あき立方体」の切断を試みようとしているわけだ。
今回は、立方体の発泡スチロールを用いて、電熱線で切断した。


切断面を頭で考えるのはなかなか困難で、対称性が高いもの(②④⑤⑦⑫など)はなんとかイメージできても、そうでないものは、結果をみてもなお納得しがたく感じられた。
どこかで使えるかも知れないので、実際に切断したところの写真を以下に記録しておく。

① 二等辺三角形


② 正三角形


③ 正方形(1)