2024年3月29日金曜日

ランダムに引いた弦の長さ(4)


求めた弦CDの平均値は、③で「4/π」、④で「π/2」となり、これは確率測度の違いによるものということであった。

だが、③と④のどこに違いがあるかについて説明するのは難しい。これについてもう少し考えてみよう。
下図のように、まず円周を等間隔に区切って点を打つ。そしてこの点を通りx軸に垂直な直線を引いてみると、これらの平行線は等間隔でなく、点Aに近いところで、平行線は密になっている。


円周上で点を動かすことによる弦の数え方と、半径上の点を動かしてつくった弦の数え方の違いを、この図は表しているといえるだろう。この疎密というのが、測度の違いを表しているのではないか。

①②③の方法は、少し見方は異なっているが、いずれも動径の動きを角度で表して円周上の点を均等に押さえていた。
たとえば、①の方法では、動径OBの端点Bと定点Aを結んで、弦ABの長さを考えた。


いま、円周上に15°刻みで24個の点を打ち、点Aと上半円上の点を結ぶ12本の弦の長さを計算すると、
2sin7.5°, 2sin15°, 2sin22.5°, 2sin30°, 2sin37.5°, 2sin45°, 2sin52.5°, 2sin60°, 2sin67.5°, 2sin75°, 2sin82.5°, 2sin90° となる。これらの近似値を求めると、0.26 , 0.52 , 0.77 , 1.00 , 1.22, 1.41 , 1.59 , 1.73 , 1.85 , 1.93 , 1.98 , 2.00 となって、
これら12本の弦の長さの平均は、1.35 となる。

一方、④の方法は、半径(または直径)上の点の位置に注目し、その線分上の点を均等に押さえていた。
すなわち、下図のように、半径OAに垂直な直線を一定間隔で平行移動させて弦CDの長さを考えた。


上の場合と同じように、半径を6等分する間隔で引いた平行線によってできた12本の弦の長さを計算してみると、
2√(1-(5/6)^2) , 2√(1-(4/6)^2) ,2√(1-(3/6)^2) , 2√(1-(2/6)^2) , 2√(1-(1/6)^2) , 2√(1-(0/6)^2) , 2√(1-(-1/6)^2) , 2√(1-(-2/6)^2) , 2√(1-(-3/6)^2) , 2√(1-(-4/6)^2) , 2√(1-(-5/6)^2) , 2√(1-(-6/6)^2) となる。これより近似値は、1.11 , 1.49 , 1.73 . 1.89 , 1.97 , 2.00 , 1.97 ,  1.89 , 1.73 , 1.49 , 1.11 , 0.00 となって、
これら12本の弦の長さの平均は、1.53 となる。 

ざっくりと有限の本数で比較してみた場合、④の方法の方が平均値は大きくなりそうである。無数の線を引く場合には状況が違ってくるだろうから、たかだか12本程度の比較では十分とはいえないのだが。

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