これは、1983~1984年に日本経済新聞に連載された「暮らしの中の数学」(中村義作先生)の切り抜きである。(今も大切に保管している。)
内部の面積が同じ多角形で平面を敷きつめたとき、周囲の長さがいちばん短くなる多角形は「正六角形」であるが、これを空間に拡張したとき、内部の体積が同じで最も表面積が小さくなる立体はどのような立体(多面体)か、という問題である。
この間「並べた団子をつぶす」で探ってきた、隙間のない空間充填立体の4種類について、これを調べてみよう。
広い空間を形成しつつ壁の材料を最も少なくするという経済性を比べるには、単位体積当たりの表面積の値を求めればよいだろう。(値が小さい方がより経済的ということ。)
①単純立方格子の場合
(a)正八面体から正四角錐を削る方法
切頂八面体の一辺の長さを1とする。これに、辺の長さが1の正四角錐を6個つけると、辺の長さが3の正八面体ができる。正八面体は、正四面体を2つ合わせた形なので、辺の長さが3であるとき、その体積は、(1/3)×3×3×(3(√2)/2)×2=9√2 となる。ここから、辺の長さが1の正四角錐6個を引けばよいので、9√2ー(1/3)×1×1×((√2)/2)×6=8√2 となる。
(b)立方体を2分割したものを8つ合わせる方法
立方体の6つの辺の中点を結んで、切り口が正六角形になるように切断すると、この2つは合同な立体になる。これを背中合わせに4つくっつけると、切頂八面体の上半分の立体になる。つまり、切頂八面体の体積はこの立方体の体積の4倍ということになる。この立方体の一辺の長さは、正六角形の一辺を1とするとき、√2になるので、(√2)^3×4=8√2 となる。
切頂八面体の表面積は、一辺が1の正方形が6個と、一辺が1の正六角形が8個なので、1×6+(3√3)/2×8=6+12√3 になる。
したがって、切頂八面体の「表面積/体積」は、(6+12√3)÷8√2≒26.78÷11.31≒2.37
長くなりそうなので、この続きは明日に。
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