左の[ブロックA](同相双三角台塔)と、右の[ブロックB](立方八面体)は異なる構造であることがわかった。しかし、どちらもほぼ同じルールでビー玉を積み上げただけのもので、たとえば、真上から見た形状はどちらも正六角形であり、高さも同じである。下のような正六角柱のケースに入れてみると、どちらのブロックもぴったりと収まる。
ちなみに、このケースをつくるにあたっては、これまで調べてきたデータや考えが役に立つ。
たとえば、ビー玉の直径を1としたとき、底面の正六角形の向かい合う辺の距離は、0.87×2+1=2.74 (これは「ビー玉を収める(2)」の長さ計算の利用)であり、また、正六角柱の高さは、0.82×2+1=2.64 (これは「ビー玉を積む(1)」の高さ計算の利用)になる。
この正六角柱のケースに収めたビー玉の配列を少し違った視点で眺めてみよう。
ここからは、2つのブロックを区別しやすくするためにビー玉の色を変える。オレンジ色が[ブロックA](同相双三角台塔)、青色が[ブロックB](立方八面体)である。
[ブロックA]は、1段目と3段目が同じ配列になるということであった。つまり、垂直方向に、2層パターンの繰り返しになっているということだ。そこで、「3個ー7個ー3個」の積み重ねを、「7個ー3個ー7個」に置き換えてみると。
この構造は、化学の教科書でよく見かけた「稠密六方格子」に他ならない。
[ブロックB]について、真横から見ると、斜め60度の方向にビー玉が3列(3層)に並んでいるように見える。
ケースから取り出すと、[ブロックB]は、1層目4個(正方形)、2層目5個(十文字)、3層目4個(正方形)という構造をもった立体ともいえることが分かる。
すなわち、新しく注目した層は、水平方向に正方形を繰り返し描くように整列し、その正方形の凹みにビー玉が置かれることで同じく正方形を繰り返し描く層を形成する。これは、「ビー玉を収める(3)」で紹介した66個のビー玉を詰め込んだ構造と同じだ。
この(正方形)ー(十文字)ー(正方形)の積み重ねは、2層パターンになっているので、「4個ー5個ー4個」の積み重ねを、「5個-4個ー5個」に置き換えても構造は変わらない。
すると、こんな具合に、立方体の角の8個のビー玉に、面の6個のビー玉が挟まれているのが分かる。角の8球の中心を通る正方形で囲まれた(切断した)立方体を考えると、6つの側面には球の最大切断面が現れ、「面心立方格子」としてよく見かけるモデルになる。ちなみに、この14個のブロックも、その前の13個の[ブロックB」も、立方体のケースにぴったりと収まる。
稠密六方格子(ブロックA)も面心立方格子(ブロックB)も、ビー玉を平面に六角形状に密に敷き詰め、これを何層にも重ねたときに現れる構造であるから、基本的に空間充填率は同じ(74%)である。そして、これが空間に対して最も密に球を詰め込む方法であるように思われる。
66個のビー玉を収めたケースの話が出てきたので、もう少し調べてみよう。
前回は上の写真のように、底面に平行な層を積み上げることを意識したが、視点を変えて、斜め60度の方向の層が見えるように色分けをしてみる。
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