では、芯に筒がはいっているトイレットペーパーの場合はどうだろうか。
トイレットペーパーを上から見たときの外側の円の半径を a(cm)、内側の芯の半径を b(cm)とするとき、使い始めから終わりまでのちょうど中間に位置する一巻き(エンジ色の線)は、中心から何cmのところにあるか。
エンジ色の円の半径をx(cm)とすると、下図の赤色のドーナッツの面積は、π(x^2)ーπ(b^2) 、
黄色のドーナッツの面積は、π(a^2)ーπ(x^2) で、これが等しくなればよい。
π(x^2)ーπ(b^2)= π(a^2)ーπ(x^2)
2(x^2)=a^2+b^2
したがって、x=√((a^2+b^2)/2) となる。
たとえば、トイレットペーパーのロール全体の半径が 8cm(a)で、芯の半径が 2cm(b)とすると、xは、√((64+4)/2)=√34≒5.83 と計算できる。
赤色の厚みと、赤と黄を合わせた厚み(トイレットペーパーの厚み)の比は、3.83:6 となり、64%くらいのところに位置する。芯のない場合の71%に比べてやや小さくなった(相対的に内側に寄った)。
さて、今回の場合も、計算なしでエンジラインを見つける方法はあるだろうか。
小円の半径と大円の半径で直角三角形をつくり、その斜辺を一辺とする正方形を描く(一辺の長さは、√(a^2+b^2)である)。その正方形の対角線の交点が、エンジライン上の点になる(対角線の半分は、一辺の 1/√2 倍になるから)。
芯の半径が大きくなると正方形は更に傾くが、その方向きは最大でも45°より小さい。また、芯の半径が 0 のときは、前回の例(芯のない場合)に一致する。
こんな方法もある。
小円の接線とエンジライン(円)の接線を描くとき、ドーナッツ上の接線の長さが同じであれば、それぞれのドーナッツ面積は同じになるので、そこからエンジラインを推測するという方法だ。
なぜなら、上図のように接線の長さの半分をそれぞれA、Bと表すと、
赤色のドーナッツの面積は、π(x^2)ーπ(b^2) =π(x^2ーb^2)=π(A^2) と表せ、
黄色のドーナッツの面積は、π(a^2)ーπ(x^2) =π(a^2ーx^2)=π(B^2) と表せるので、
2つの面積が等しいことと、AとBが等しいことは、同値となる。