2022年9月14日水曜日

蚊取り線香の真ん中(3)

③ 2つの線香を重ねた円の面積から調べる方法

2つの線香で隙間のない円をつくってみたが、正円というより楕円に近い。


短い方の直径(白)が105mm、長い方の直径(黄)が115mmであった。
平均をとって、半径が55mmの円と考えて面積を求めると、55×55×π=9498.5mm^2≒95cm^2 となった。
したがって、面積が半分になる円の半径は、√(95÷2÷π)≒3.9cm になる。
半径3.9cmの円をプラ板でつくり、蚊取り線香の中央に重ねてみると、内側から2周半から3周目までのところでプラ板の縁が線香上に重なる。その中央あたりとなるのは、①のひもで見つけたセンターポイント(2周と3/4)に近いことが分かる。


もっとも、円の面積が半分になるのは、半径が、1/√2倍(0.707倍)のときなので、5.5×0.707≒3.9cm からも導ける。

④ アルキメデスのらせんの長さを計算する方法

蚊取り線香の写真から、図形ソフトでらせん曲線を描いてみた。


これを、xy座標上に置き直し、アルキメデスのらせんとして、その長さを積分計算することを考えた。なお、原点から反時計回りに4周した先端は、中心から5.8cmのところにある。


らせんの式を、r=aθ(0≦θ≦8π)と表し、らせんの長さLを求める。
 x=aθcosθ
 y=aθsinθ より
 dx/dθ=a cosθ-aθsinθ
 dy/dθ=a sinθ+aθcosθ
よって、√((dx/dθ)^2)+(dy/dθ)^2)=a √(1+θ^2) と表せる。

Lは、これを0~8πまで積分したときの値で求められるので、
 L=Integrate[a Sqrt[1+θ^2],{θ,0,8π}]

らせんの最後の端は中心から5.8cmの距離だったので、5.8=a×8π とすると、a=0.23 となる。したがって、
 
ひもで測ったときの値(76cm)に近いといえるだろう。

また、「①ひもの長さから調べる」のときに、(2+3/4)周あたりが真ん中であろうと推測したので、0から5.6π(約2.8周)で積分してみると、ほぼ半分の値であった。
 

さて、これまでの考えが正しいかどうか、実際に、両端から火をつけて確かめてみた。1時間ごとの燃焼の経過は次の通りである。


両端からつけた火は、初めに予想したポイントよりやや内側のところで鉢合わせした。


これは、渦巻きの曲率が異なることの影響の他に、渦巻きの中央の部分をひもで埋めたときに余分にひもを押し込んでしまったこと、中央の部分では線香の幅が広いことなどが考えられる。

76cmの線香を両端から燃やしておよそ3時間かかったので、線香の燃えるスピードは、約12.5cm/時と思われる。
「60分で燃え尽きる蚊取り線香」の問題を出題するときには、12.5cmの長さの蚊取り線香を用意するとよいだろう。

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