「60分で燃え尽きる蚊取り線香2本を使って、45分を計ってください。」
パズル問題であるが、「問題解決のプロセス」を学ぶのにもとてもよい数学的要素をもっている。
『いかにして問題をとくか』(ポリア)でいう、「問題を理解する」→「計画をたてる」→「計画を実行する」→「ふり返ってみる」という一連のプロセスを実感することができる。
以前、授業(高1)で取り組んだときのあるグループの話し合いをボイスレコーダーから拾い出してみた。
A「なんとなく4分の3いったし45分じゃね、みたいな」
B「きっかり測らなあかんて」
C「長さは測れへんのやろ」
B「30分やったらできる気がする」
C「えっ、30分いける?」
B「片方は外側からもう片方は真ん中からやって、同じところにきたら30分やん」
D「賢いなあ」
C「ひとつのやつに外側と内側から測るってこと?」
B「違う違う、2つを別々に外側と内側から火をつけて、これを合わせて同じ所にきたら30分ということ」
A「そのあとの15分をどうやって計るかって話やな」
B「あっ、半分までいったってことは、半分のやつのもう片方にも火をつけたらもう半分で消えるくない?」
D「それや、絶対それや」
C「そかそか、一個だけとって、もう片方から火をつけたら15分たって、あわせて45分!」
D「すげ〜賢い」
C「ちょっと待って、一個を両端からつけてこれが燃え尽きたら30分やん、もう片方の 蚊取り線香も一緒につけといたら30分経過したあとの蚊取り線香ができあがるやん」
D「うん」
C「そしたらそれの反対側を燃やして15分!」
A「その方が楽やん」
D「すげ〜完璧やん」
C「ちょっと待って、一個を両端からつけてこれが燃え尽きたら30分やん、もう片方の 蚊取り線香も一緒につけといたら30分経過したあとの蚊取り線香ができあがるやん」
D「うん」
C「そしたらそれの反対側を燃やして15分!」
A「その方が楽やん」
D「すげ〜完璧やん」
「45分が計れた」ことよりも、解決に至る「考えの流れ」に注目したい。蚊取り線香問題の話し合いには、次のようなステップが見える。
①問題理解(条件整理)
何が分からないのか、条件は何か、図に表せないかなど整理する
②計画する(分析、推測)
何が使えるか、問題を置き換えられないかなど試行錯誤してみる
③実行する(組み立て、論証)
筋道をたてて考え解法を組み立てる、抜けたところがないか点検する
④振り返る(別の方法、新たな活用)
結果を吟味する、違った方法やよりよい方法を探る、異なる問題への活用を考える
といった具合だ。
上記の話し合いでは、「対話」によって気づきが生まれ、思考が深まっているのが分かる。特に、よりよい方法を見つけようとすること、より分かりやすい説明へと表現を洗練しようとすることが、自発的に行われている点が大事だ。
授業では、「考え方の型」を実感したところで、異なる文脈の問題を与える。たとえば「モンティ・ホール問題」について、予想し、実験し、結果を吟味し、解説していく。すると、場合分けの表をつくって説明するなどのグループが出てくる。更には、「対立する意見も認めることが大事」や「説明することが楽しいと知った」など、自身の変化(メタ的な学び)を意識する意見がでてきた。
0 件のコメント:
コメントを投稿