2022年9月15日木曜日

蚊取り線香の真ん中(4)

前回の実験では、両端からつけた火が出会う(燃え尽きる)位置が、予想した渦巻きの真ん中から外側に少しずれていた。要因はいろいろ考えられるが、1回の実験で簡単に結論を出してはいけないということで、もう少し調べてみる。
渦巻き中央部の幅広の部分が誤差を生んでいるように思うので、ここをカットして再度調べることにした。

図のように、蚊取り線香を外側から見て3周分を使うことにし、その内側部分(1周分)をカットする。

このとき、片方の線香をひもに置き換えて長さを測ると、約70cmであった。

ひもの中央(35cm)に印をつけて再度まき直し、その部分に印をつける。
これを図に描き直すと、次のようになる。この曲線の真ん中は、内側からおよそ(1+7/8)周、外側から(1+1/8)周のところにある。

さて、アルキメデスのらせんにおいて、θ=8πのとき、r=5.8(cm)であることは前回と同様なのだが、求めるらせんの長さを積分で計算するには、2πから8πの範囲で求めることになる。
 L=Integrate[0.23 Sqrt[1+θ^2],{θ,2π,8π}]
実測したひもの長さは約70cmであったので、ほぼこれに近いといえる。

ひもの真ん中は、内側からおよそ(1+7/8)周と予想したので、2πから5.8πまで積分してみると、
で、ほぼ半分の値になった。

前回と同様に、実際に両端から火をつけて、予想したポイントで鉢合わせするかどうか確かめてみた。


3時間後の撮影時には、火は消えており、燃え尽きるまでを確かめることができなかったが、両側から燃えていった線香は、予想ポイントをはさんで同程度に残っていた。


2時間後の写真(左)と3時間後の写真(右)に注目すると、予想した中間点につけておいた印に対して、両側から同じ距離で火が近づいていたことがわかる。
燃えるスピードは、線香の状況や火の付き方などによってもばらつきが生じるかもしれないが、渦巻きの中央部を取り除いた、幅の一定な線香で行った今回の実験では、線香の長さは燃焼時間にほぼ比例し、ひもや計算によって求めた「蚊取り線香の真ん中」もほぼ正確に導き出せていた、と思う。

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