②-(b) たこ形の場合
三角形におけるフェルマー点の作図については、前回説明した通りだが、四角形においても同じように考えることができる。
向かい合う辺のそれぞれの外側に正三角形を描き、新しくできた頂点同士を結ぶとき、その線分の一部(オレンジ色)は最短経路(シャボン膜)の一部として現れ、また、その頂点間の距離はシャボン膜の全体の長さに等しくなる(オレンジ色の部分が現れないような場合はダメだけど)。更に詳しくみていこう。
3方向に均等の力で引っ張られた綱は互いに120°(全円の3等分)をなすようにバランスをとると考えて、この形が現れるような綱引きを図の上に重ねて確かめてみよう。
回転扉のような3本の直線が1点で交わる図(赤線)をプラ板に描き、これまでの図に当ててみた。
三角形の場合、3頂点を通るようにプラ板を重ねる置き方は、それぞれ1通りに決まる。
四角形の場合には、これが2枚必要になるが、たとえば、「たこ形」の四角形の頂点に当てるとき、下左図のように適当な置き方もできるが、下右図のようにプラ板上の適当な直線が一直線になるように重ねると、シャボン膜と同じような形が現れる。
△ABFの外接円を描き、IFの延長線と交わる点をEとすると、△ABEは正三角形になる。(∵ ∠AFE=∠ABE=60°、∠BFE=∠BAE=60°)
同様に、△CDIの外接円とFIの延長線と交わる点をHとすると、△CDHも正三角形になる。
つまり、120°で綱引きをする場合、必然的に、四角形の対辺にくっつけた2つの正三角形の頂点同士を結ぶ直線は、共有線に重なるのだ。
また、シャボン膜の合計の長さは、この線分EHの長さに等しくなる。
したがって、今回の「たこ形」におけるシャボン膜の長さは、正六角形の一辺を1とすると、EK=(3√3)/2、KH=5/2 より、EH=√13 になる。
なお、対辺の選び方について、もう一方の組もありうるのだが、これは裏返しにすると同じ図形なので、結果も同じ。
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