2022年3月21日月曜日

正四面体がいっぱい(2)

(2)正四面体を切る

昨日つくった正四面体を、今度は、正四面体の1つの面に平行で、辺の中点を含むように切断する。切り取った立体は小さな正四面体になることがわかる。では、この小さい正四面体は、もとの大きな正四面体からいくつ切り出せるか。また、切断して残った立体はどんな形になるか。

正四面体は4つの頂点をもつので、切り取る小さな正四面体が4つになることは予想がつくが、これらを取り除いて残った立体の形が何になるか、即答できる生徒は少ない。

では、実際に切ってみよう。

中から出てきたのは「正八面体」であった。斜め上から見た方が分かりやすいかもしれない。
以前に、色画用紙でこんなものをつくったことがある。

上の小さい正四面体を外したら中央はこんな感じだよね、といって見せても、なにこれ?、という生徒が多かった。(そんな風に反応してくれることが嬉しいのだが。)

正四面体は、これら5つの立体に分解される。逆に見れば、4つの正四面体と1つの正八面体で、一回り大きな正四面体がつくれるということだ。
ここで、前回測定した「二面角」を思い出してみよう。正四面体の二面角が「70.5°」、正八面体の二面角が「109.5°」であった。隣り合う正四面体と正八面体は、フラットな平面(180°)を生みだすことがこの数値からもわかる。
二面角の値から、正四面体だけでも正八面体だけでも空間を隙間なく埋めることはできないが、この2つを組み合わせれば空間を充填できるのではないか、ということが予想できる。

実際に、たくさんの正四面体と正八面体を組み合わせて、隙間なく充填できるかどうか確かめてみよう。

こんな風に、巨大正四面体を限りなくつくっていくことができそうだ。

では、このようにして広い空間を正四面体と正八面体の2種類のパーツで充填していったとき、これらのパーツの「割合」(正四面体/正八面体)はどのようになるだろうか。

[1段] 正四面体:1個  正八面体:0個  割合:―
[2段] 正四面体:4個  正八面体:1個  割合:4.0
[3段] 正四面体:11個  正八面体:4個  割合:2.75
[4段] 正四面体:24個  正八面体:10個  割合:2.4
[5段] 正四面体:45個  正八面体:20個  割合:2.25
[n段] 正四面体:(1/3)×n×(n^2+2)個  正八面体:(1/6)×n×(n^2-1)個  割合:2.0に近づく

以前、次のような問題を見たことがある。
「すべての辺の長さが1の正四角錐(A)と正三角錐(正四面体:B)がある。AとBを1個ずつ、いずれかの正三角形の面をぴったりと貼り合わせるとき、できる立体は何面体か。」というもの。

5面体と4面体を貼り合わせるので、5+4-2=7で、「7面体」としてはいけないのだろうな、ということは予想されるが、頭の中で正解を導くのは難しい。
しかし、この正四面体と正八面体の積み木を経験した人は、なんとなく気づくのではないだろうか。

正四角錐は正八面体の半分であることに気づいた人は、くっつけたときフラットになる面が出てくると予想する。そしてフラットになる面が2面出てきそうなので、7-2=5で「五面体」になると考える。実際、その通りなのだ。

ついでに、これにもう一つ正四面体(B)をくっつけても「五面体」のままである。

さて、この船のような形をした立体をもう一つ用意する。

この2つの立体を組み合わせて「正四面体」をつくれ、という問題。簡単なようで悩む人が多い。(上の写真は同じ立体を2つ並べたところ。左と右は、見る向きが違うだけ。)

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