(4)五面サイコロによる対戦ゲーム
4つの面をもつサイコロで行った実験(対戦ゲーム)を、5つの面をもつサイコロに拡張して考えてみよう。「5面サイコロ」は、五角柱の鉛筆で代用することにする。(別名、合格鉛筆。)
転がしたとき、面ではなく角が上を向くからだ。角に「目」をかくことで、止まったときのサイコロの「目」が判定できる。
四面サイコロの場合と同様に、五面サイコロに割り振る「目」のパターンについて考えよう。
5つの角に5つ数「1,2,3,4,5」を割り当てたものを基本形とし、次の条件①、②をもつ五面サイコロはいくつ見つけられるだろうか。
① 1から5の整数のみをつける
② 目の和が「15」になるようにする
たとえば、「5,5,3,1,1」はOKだが、「6,3,3,2,1」や「5,4,3,3,1」はNGである。
簡単なようにみえるが、なかなかやっかいな問題である。(計算でぱっと出ない)
結果は以下の通りで、全部で「12種類」が正解。
さて、授業では、24チームがすべて異なるサイコロを1本ずつもち、チーム対抗戦で、大きい目が出た方が勝ちとするゲーム(20回勝負)に取り組んだ。期待値が同じであることからも、どのサイコロも公平なつもりでゲームを始めるのだが、次第に次のような「気づき」が生まれてくる。
ちなみに、この3つのサイコロでは、
「5,4,4,1,1」>「3,3,3,3,3」
「3,3,3,3,3」>「5,5,2,2,1」
「5,5,2,2,1」>「5,4,4,1,1」 という力関係、すなわち「三すくみ」が見られる。
授業では、「5,3,3,3,1」と「4,4,3,3,1」が決勝戦で対決し、優勝は「4,4,3,3,1」であった。
サイコロを転がさないで、勝ち負け(有利不利)が予想できただろうかと尋ねると、対戦表(星取り表)が有効であろうという意見がでてきた。実際に表をかいてみると、
サイコロを転がさないで、勝ち負け(有利不利)が予想できただろうかと尋ねると、対戦表(星取り表)が有効であろうという意見がでてきた。実際に表をかいてみると、
理論的にも、「4,4,3,3,1」の方が「5,3,3,3,1」より有利である(10勝8敗7分け)ことが確かめられた。
そして、生徒の出した結論としては、「すべてに勝てる最強のサイコロは存在しない」ということであった。
そして、生徒の出した結論としては、「すべてに勝てる最強のサイコロは存在しない」ということであった。
ところが、各チームがもつ五面サイコロと「1,2,3,4,5」のサイコロ(基本形)との対戦を調べてもらったところ、どのチームも「引き分け」になるという驚きの現象が明らかになる。そして、なぜこのようなことが起こるのかという考察が、この授業のしめくくりとなる。
12種類のサイコロが対戦したときの有利(○)不利(×)互角(△)を表にすると次のようになる。
「1,2,3,4,5」のさいころが引き分ける理由は、四面サイコロの場合と同じであるが、やはり、ことばで説明するのはなかなか難しい。
四面サイコロの「解説その1」は、対戦表をつかって具体的に説明していたので、五面サイコロのケースに当てはめて説明する場合は、いくつかの対戦表をもとに一から説明し直さないといけない。
しかし、「解説その2」と「解説その3」は、数式を使って一般的に説明していたので、ちょっと拡張すればそのまま使えてしまう。数学の一般性、汎用性というものが優れていること、役に立つことに気づいてくれると嬉しい。
しかし、「解説その2」と「解説その3」は、数式を使って一般的に説明していたので、ちょっと拡張すればそのまま使えてしまう。数学の一般性、汎用性というものが優れていること、役に立つことに気づいてくれると嬉しい。
<おまけ>
五面サイコロの12種類を見つける方法として、下のように青いブロックの絵を描いて(実際に駒をつくるともっとよい)、バランスよく平均が「3」になるパターンを探すやり方もある。
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