2022年3月22日火曜日

正四面体がいっぱい(3)

(3)自然の中の正四面体

昨日の問題の答えは、次のようになる。

正方形の面をくっつけることで、正四面体ができあがる。
正四面体の切断面には、正三角形だけでなく、正方形になる場合があるのだ。

こんなものをつくってみた。アクリル板で正四面体をつくり、その中に細かな砂を入れる。正四面体の向きを変えることで砂の面も変わり、「切断面が見える」というものだ。
(中に入っている砂は、サウジアラビアの砂漠の砂。1970年の万博でもらってきたもの。)


さて、正四面体構造をもっているいろいろな物質をみてみよう。
たとえば、ダイヤモンド。
正四面体状に、炭素Cが頑丈に結合している。

たとえば、水(氷)。
水分子は、単体ではH2Oで表されるが、水分子同士が互いを引きつけあい、隣り合う4つの分子が正四面体構造を形成していく。

たとえば、土の成分、二酸化ケイ素 SiO2。
正八面体の外側に4つの正四面体をしたがえているようなスタイルで積み上がる。
2種類の元素が正四面体構造を形成するとき、たとえば、水(H2O)も、二酸化ケイ素(SiO2)も、その割合は、1:2になっている。
これは、正八面体と正四面体を組み合わせて空間を充填したときの割合が「1:2」に近づいていった作業および計算結果に一致する。

このように自然界によく見られる正四面体構造であるが、中央からバランスよく外側に伸びる4本の手の、どの2本の角度も「109.5°」になることが知られている。これを数学的に確かめてみよう。

中央の原子を始点とし、正四面体の頂点方向に、aベクトル(→a)、bベクトル(→b)、cベクトル(→c)、dベクトル(→d)が引っ張り合い、バランスがとれているとする。それぞれのベクトルの大きさはすべて「1」、手のなす角をθとする。

(→a)・(→b)=(→b)・(→c)=(→c)・(→a)=1×1×cosθ=cosθ ・・・①
(→a)+(→b)+(→c)=ー(→d) ・・・② が成り立つ。
|(→d)|=|(→a)+(→b)+(→c)|
=√((|a|^2)+(|b|^2)+(|c|^2)+2(→a)・(→b)+2(→b)・(→c)+2(→c)・(→a))
=√(1+1+1+2cosθ+2cosθ+2cosθ)=√(3+6cosθ)
|(→d)|=1 であるから、
3+6cosθ=1 すなわち cosθ=ー1/3 が導ける。
このとき、θ≒109.5° 

この「109.5°」は正八面体の二面角の値であった。すなわち、正八面体の隣に4つの正四面体を有するような正四面体構造において、この「109.5°」はたいへん重要な値であり、必然であったということだ。

また、すでに、「ビー玉を収める」や「ビー玉を積む」で検証したように、最密に積み上げたビー玉は、正六角形や正六角柱を形成する。この正四面体構造もまた、この構造と同等のものといえる。
雪の結晶や鉱物の結晶が正六角形を描くのは、このような理由によるのだ。

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